2013年8月17日土曜日

高血圧の治療(その③)-薬物療法④

高血圧の治療(その③)-薬物療法④

日本チャリネ一座
今回は、どの疾病を持った高血圧患者さんに、どの降圧薬が処方されるかを説明していきたいと思います。

何もリスクがない(高血圧のみ)患者さんでは、コストが安い利尿薬Ca拮抗薬を第一選択とします。

60歳未満ではACE阻害薬アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬β遮断薬なども用いられます。

利尿薬は古典的な降圧薬ですが、低カリウム血症、耐糖機能悪化、尿酸値上昇などの副作用があるにもかかわらず、ACE阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、Ca拮抗薬などに劣らない脳卒中、心筋梗塞予防効果が証明されているため、米国では第一選択薬として強く推奨されています。

ただし、利尿薬は痛風の患者さんには使用するべきではありません。

また、緑内障の発症を著しく促すことも最近明らかになっています。


糖尿病腎障害の患者さんでは、ACE阻害薬またはアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬を第一選択としますが、これらの合併症を有する場合、より一層の厳格な降圧が必要とされるため、長時間作用型のCa拮抗薬の併用も不可欠になってきます。

ただし、腎障害が高度な場合には、ACE阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬を用いることができません。


心不全の患者さんでは、ループ利尿薬に加えて、ACE阻害薬アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬の併用が有効です。

最近ではβ遮断薬の少量追加カリウム保持性利尿薬も有効であるとのエビデンスも蓄積されています。


虚血性心疾患の患者さんでは、従来はβ遮断薬が第一選択でしたが、最近はACE阻害薬またはアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬長時間作用型のCa拮抗薬の有用性も証明されています。

特に、冠動脈のれん縮による狭心症の合併例では、長時間型のCa拮抗薬が有効です。


妊婦さんに対しては、多くの降圧薬に催奇形性があるか、ある恐れがあり、ヒドララジンαメチルドーパのみを使用します。


様々な合併症を持った患者さんでは、その分薬物治療も複雑化します。

自覚症状がないからと言って放置せず、可能な限り早い段階で治療に向き合うことが先決であることが、今までの記述でわかっていただけるかと思います。


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